30代のやってはいけない冠婚葬祭作法

知らないではすまされない「冠婚葬祭」マナー

道で葬列に出あったら親指をかくさなくてはいけない?





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道で霊柩車に出あったとき、思わず親指を中にして手を握りしめてしまった経験はないだろうか。

 

他人の不幸とはいえ、霊柩車のあの黒いボディには、どこか人間の体を思わず硬直させてしまうような異形のイメージがある。

 

人間の防衛本能のなせるわざだろうか。昔の人もよく、「道で葬列に出あったら、親指をかくさなくてはいけない」といったものだ。

 

昔は、死の前後は死者の霊は不安定で、いつ遺体から飛びだして他人の体に入ってくるかわからない、と考えられてきた。

 

そんな霊にとりつかれでもしたら大変と、わが身を守るために身を固くし、親指をかくしたのである。この類の防衛呪術に関する俗信は、他にも例がみられる。

 

「夜に山道を歩くとき、親指を中にして手を握っていないと、狐に化かされる」、「犬の怖いときは、両手の親指を中に入れて手を握り、『戌亥子丑寅』と三度くり返してとなえると、犬がほえない」等々。

 

昔の人は、自然の力、霊的な力、人智でははかりしれぬ力のすべてに対して、このような呪術は有効だと考えていたのである。

 

犬や狐といえども、こわがる人にとっては霊的な存在だったのであろう。親指を中にして手を握りしめることで、〝気〟を充実させ、恐怖を追い払っていたのである。