男は右手で酒を飲んではいけない?
「右手で酒を飲むべからず」──昔の人は、よくそう戒めてきたものだ。なぜ、酒を持つ手は左手に限るのだろうか。
別に右手のほうが肴をつつきやすいからというわけではない。酒飲みを意味する左党からきているわけでもない。これは昔の武家作法にのっとったスタイルなのである。
では、なぜそれほどまでに左手にこだわるのか。理由は単純。武士たるものいつなんどき敵におそわれてもいいように、刀を抜く右手は、常に空けておく必要があったからである。
酒を飲んでいるときでさえ、見えない敵に備えまれてきたことを感謝すべきなのであろう。