三隣亡に家を建ててはいけない?
十数年前に、実際にあった話である。東北のY市で、Aさんが古い家を取り壊して、新築を始めた。上棟式の日に、近所の人を招いたところ、思いのほか出席者は少なく、二人であった。
気になって近所の家を回ってみると、「八月二一日の三隣亡に柱を立てた」ということで不評を買っていることがわかった。
それからほどなくして、Aさんは公民館に呼び出され、近所の人からくだんの件で詰問を受けた。その結果、
①二一日の三隣亡に建てた柱三本を抜く
②お祓いをする
③厄払いによいという金と銀の玉を五家族の家に埋める
との条件を示されたのである。(朝日新聞より)
現代でも、まだ日本の各地に迷信は根づいているのだ。昔から「三隣亡に家を建てるな」といわれてきた。
三隣亡は、一、四、七、十月の亥の日、二、五、八、十一月の寅の日、三、六、九、十二月の丑の日ということになっている。
この三隣亡の日は、昔から建築関係で上棟式のように節目になる新しいことを始めるのを忌むという習慣があった。三隣亡という名の通り、この日に建築にかかれば、三隣を亡すというわけでぁる。
しかし、三隣亡は三輪宝と書き、屋建て、蔵建てによしとされていた時代もあったのだ。俗信といえども、世間に根強く信じられているものもあるので、くれぐれも気をつけたい。