不祝儀には黒以外の水引を使ってはいけない?
よくわれわれが間違いやすい水引のタブーをもう一例あげよう。不祝儀は全て黒の水引ですましている人が多いようだが、これはたいへんな間違い。
本来、黒の水引を使ってよいのは、葬儀のときだけなのだ。ところが実際には、葬儀以外の法事にまでも黒、または白黒、銀黒の水引を用いる人が多い。
祝いごとは紅白、結婚式は金銀というふうに、仏事は何でも黒だと決めてかかっているようだ。本来は、葬儀の香料には白の水引で結ぶか、元結を二本でしたものである。
光沢のない黒は沈んで見えるので、黒と清浄の白を合わせて用いるようになったのだ。不祝儀全般、どこまでも黒にこだわるのはよくない。
四九日の満中陰が過ぎると、故人はすでに仏になっていると考えられている。その後の法事は、供養という祭りとみなされ、いつまでも黒の水引ですましてはならない。
関西では、黒の水引の他に黄色と白、または銀一色あるいは藤色と白なども用いられる。従って、葬儀以外の場合は、関西では黄色の水引を用いるのが一般的。
東京では、黄色の水引を扱っている店が少ないので、しかたなく、「御仏前」と記されてある黒の水引の金封包みが用いられているのである。不必要に黒一色を使って、気分を暗くする必要はないのだ。