結婚式は夕方にあげてはいけない?
結婚披露宴の会場の予約は、ふつう正午をはさんだ時間帯から詰まっていく。
まず結婚式を挙げ、その日のうちに人々を招いて食事を供するとなると、やはり都合がいいのか、ほとんどのカップルがこの時間帯を希望する。
最近では結婚産業もエスカレートし、結婚式よりも披露宴のほうがむしろ尊重されがちである。ホテルの片すみに、申し訳程度につくられたチャペルや神棚で挙式は簡単にすませ、写真撮影。
ほどなく「おつぎは披露宴会場へ」となる。花嫁花婿はそんなフルコースに乗っかっていさえすればとどこおりなく結婚の儀は運ぶしくみになっている。
挙式は午前中に挙げたほうがいいといわれるのは、実はこうしたしくみの成せる業。根も葉もない俗説だ。
歴史を遡れば、結婚の形式は平安時代までは婿入婚だった。現在一般的な嫁迎え婚がはじまったのは鎌倉期以後。
豪族同志の結束を固めなければならないという必要から生じたものである。結婚の文字を見てもわかるとおり、婚は「たそがれ」──夕刻を示すもの。
もとを正せば婿が「ゆいのもの」をたずさえて、夕刻に嫁方の家を訪ね、そのまま宴となったのだった。
結婚式は夜挙げても、まったく差し支えはないのである。披露宴にしても、なにも同じ日に行わなければいけないというきまりはない。簡単にすませようという世の風潮が作った慣習だ。