門松の一夜飾りはタブー?
門松を含め、正月やめでたい節句の飾りうけに、一夜飾りは似つかわしくないものとして、昔から避けられてきた。
なぜ一夜飾りはタブーなのだろうか。これは「渡り箸」などと同じく、葬式に関連したタブーなのである。
人の不幸は、前触れもなくやってくることも多い。葬式の飾りつけは、どうしても前日からということになりやすい。
つまり一夜飾りとなるわけだ。このタブーには弔事に関連した習俗をめでたい日に再び繰り返すことのないようにという、昔の人の思いがこめられているのである。
火事の頻発した江戸時代では、市民は火事に対する心構えとしても、門松を飾ったといわれている。長竹を束ねたものに松の小枝を結んで、水盛をその前に、さらにその前に砂盛を置き、門松の飾りつけ一式とした。
そして、紋所入りの高張提灯をつけて正月を迎えたという。新しい年のよきことを祈って用意した門松ぐらいは、ゆっくりとした心で飾りたいものだ。