死亡通知は一人で行ってはダメ?
現代は、高度情報化時代。電話一本でほとんどの用が足りてしまう。近頃の若い人たちは手紙さえ書かなくなっている。
恋文という言葉も最近は流行らない。活字離れというか、いささか情けない時代だ。こうやって文章を書いていることも心もとなくなってきた。
さて、この「死亡通知は一人で行くな」というタブーも、最近の世の中ではあまり意味をなさないだろう。たとえば自分の近親がなくなった。
さて、親類や故人が生前、お世話になった人に死亡を知らせる方法としては、電話や電報という便利なものがあるからだ。
わざわざその人の家まで赴いて知らせる場合は非常に少ないだろう。昔は、当然のことながら、電話や電報などはなく、交通機関も発達していなかった。夜道を一人でとぼとぼと隣の村の親戚まで死亡を知らせに行くというケースもあったに違いない。
そんな場合、その人に死霊がついていくといって、当時の人々は恐れたわけである。
死亡通知は一人で行くな、つまり複数で行けということは、親しい人を亡くして、平常心を失っている人は、途中で間違いがあるかもしれないということを気づかっての意味と、複数で行けば悲しみがまざれるという意味があるのだろう。
そういえば、今でも役所に死亡を届けに行く時でも、二人で行くという場合が多いようだ。