30代のやってはいけない冠婚葬祭作法

知らないではすまされない「冠婚葬祭」マナー

庚申の夜は眠らず、子作りもせず、身を慎んで迎えるべし

江戸時代の川柳で庚申待ちを詠んだ句に、「寝て用がないで庚申夜をふかし」という句がある。 庚申待ちは中国の道教が起源、干支との庚申にあたる禁忌を中心とした信仰のことである。昔の日本では、庚申の日にみなが集まり、信仰行事がさかんに行われていた。…

鏡餅は刃物で切らない

正月に、自分が最も大切とするものに餅をそなえたのが、鏡餅のはじまりである。仏壇に供え、先祖崇敬の念をあらためたり、帳場の神棚に供えて商売繁盛を願うのはよく見かける光景だ。 鏡開きは一月十一日に行うのが常だが、徳川時代までは二十日ときまってい…

四足を食べたら参詣するな

周知のように、日本では江戸時代までは〝肉食〟が固く戒められてきた。 誤解している人も多いようだが、この場合の〝肉〟とは鳥獣肉全般を指すのではなく、主として牛、豚類である。鳥をはじめ、狸、猪、鹿などは比較的食されていたようだ。 とはいえ、〝四…

玄関の履物は入船の形にしたままでは嫌がられる

玄関を上がったら、履物は向こう向きに「出船」の形にそろえておく。 料理屋や旅館、ごく一般家庭の玄関でも、「入船形」は嫌がられる。 なぜだろうか。歴史を遡ってみると、事の起こりは、多くの作法同様お茶の世界。躙り口をくぐって茶室に入る際、うしろ…

柏手は音をたてずに行うもの

柏手は、神々の再来を祈って打たれるもの。伊勢の大宮司による八開手は八拍手ときまっているが、それ以外の場合は二拍手、神社でも二拍手がふつうである。 その昔、岩戸にかくれてしまった天照大神を再び呼び戻すために、神々が手を拍って迎えたのがはじまり…

襖障子は両手をそろえて開けてはいけない

片手ではなく両手を使った動作のほうが、一般に礼儀正しいとされている。 両手をひざまえに寄せてお辞儀をし、手みやげは両手をそえて相手に差し出すといった具合に、日本の立ち居振舞にはことさらその傾向が強い。 しかし、襖障子の開閉に限ってはその逆。…

「土用の丑の日」鰻は食べても土木工事はダメ

「土用の丑の日」には、鰻を食べることになっている。夏の暑いさ中に鰻を食べるのはまた格別、確かに鰻は夏バテ防止に効力を発揮することだろう。 どうも一般には、土用イコール鰻という図式が浸透してしまっているようだ。 しかし、土用は鰻屋のためにある…

節分にまく豆はなぜ生ではいけない?

「鬼は外、福は内」ととなえて豆をまく──例年、二月の三、四日ともなると、どこの家庭でも目にすることのできるおなじみの節分の光景である。 このときまく豆は煎った大豆である。なぜ生の豆をまいてはいけないのだろうか。ただ鬼の眼をつぶすためだけに投げ…

正月に仕事をしてはいけない

正月は神仏来臨の祭りを行う季節、日常の生活と一線を画すために、古来より正月にはさまざまなタブーがあった。主な例を拾ってみよう。 「農事・山仕事・漁業その他の仕事をしてはならない」、「下肥を使ってはならない」、「鳴り物や騒音をたててはならない…

カップルで弁天さまに行くな!

弁天さまは、七福神の一つとして、古来から、日本人の信仰の対象となってきた。 日本のあちらこちらに弁天さまを祀る神社があり、安芸の宮島、大和の天の川、近江の竹生島、相模の江ノ島、陸前の金華山が日本の五大弁天とされている。 これら各地の弁天さま…

櫛を拾ってはいけない

「髪は女の命」といわれた時代もあった。髪が命なら、髪をとかす櫛は、その時代の女性にとっては、命から二番目に大切なものであったかもしれない。 つげ、竹、象牙、べっこう……昔の女性は幾種類もの櫛をもっていたものだ。ところで、櫛を大切にしていた昔に…

早死にするから帯を切ってはならぬ

妊娠五カ月を祝う〝帯祝い〟ちょうど今の七五三にあたる〝帯結び〟の儀式など帯にまつわるわが国の風習。儀式は昔から数多くみられる。 実際、古事記のなかにも帯に関する記述があるほどだ。今日では帯は後ろで結ぶものとなっているが、昔は前で結ぶこともあ…

タタミの縁はふんではいけない

子供の頃、タタミの縁をふんで親から叱られたことはなかっただろうか。これは武家礼法のなごりであるとする説がある。 タタミの縁をむやみに歩くと、床下にかくれている忍者が、タタミとタタミのすきまから、槍や刀を突きあげてくるかもしれない、だから縁を…

元旦に掃除したら福の神が逃げちゃうぞ!

今でも元旦には掃除をしない家庭が多い。別に正月休みのためではない。 その理由は、元旦に家に舞いこんだ福の神を外に掃き出さぬためだという。江戸時代の商家などでは、元旦は一日中、雨戸を閉めきっているところも多かったとか。こんな話もある。 江戸時…

墓地で転ぶととんだことになる?

彼岸になると、家族そろって墓参りする人は多い。日頃、ご無沙汰をしているので、この時期くらいは、殊勝な気持ちになって、祖先の霊を弔うのだろう。 生前、酒好きだった人には酒をという具合に、先祖の好物を持っていく。先祖の霊を大切にする気持ちはいつ…

縄を帯にしてはならぬ

農作業、荷造りなど実用的なものから縄跳びに至るまで、私たちの生活と縄とのあいだには、きってもきれない縁がある。 この縄が道端に落ちているのを蛇と見間違えて、ハッとしたことが誰でも一度や二度はあるのではないだろうか。昔の人も縄から蛇を連想した…

出産現場に夫は立ち会ってはいけない?

日本の若い夫婦の間でも、欧米なみにラマーズ法などが取り入れられ、出産現場に夫が立ち会うこともさほどめずらしいことではなくなった。 心理学的にみても、夫が現場でなにやかやと協力することは、妻の不安を柔らげ、陣痛の少ない自然分娩を促すよい方法な…

暮の大掃除は女がやってはいけない

年末の大掃除、師走の風物詩としておなじみの光景である。最近はこの季節になると、男はジャマとばかりに追いたてられるご主人方も多いようだが、大掃除は昔は男の役目だったのである。 正月祝いは、そもそもわが家に招いた年神から新しい生命を授かるという…

三隣亡に家を建ててはいけない?

十数年前に、実際にあった話である。東北のY市で、Aさんが古い家を取り壊して、新築を始めた。上棟式の日に、近所の人を招いたところ、思いのほか出席者は少なく、二人であった。 気になって近所の家を回ってみると、「八月二一日の三隣亡に柱を立てた」と…

丙午の女が嫌われるのはなぜ?

理屈では馬鹿げているとは知りながらも、心のどこかでやはり気になってしまうという俗信がいまだにある。 科学優先の現代にあっても、昔から培われてきた日本人の精神構造は崩壊していないようだ。丙午生まれの女性を忌む因習などは、その最たるものであろう…

道で葬列に出あったら親指をかくさなくてはいけない?

道で霊柩車に出あったとき、思わず親指を中にして手を握りしめてしまった経験はないだろうか。 他人の不幸とはいえ、霊柩車のあの黒いボディには、どこか人間の体を思わず硬直させてしまうような異形のイメージがある。 人間の防衛本能のなせるわざだろうか…

通夜の席で死因をきくのは不作法?

通夜の席では、遺族、近親者、知人、親しい友人などが一夕をともにすることになる。遺族は、死という現実に耐え忍びながら、来客の接待に追われなくてはならない。 看病疲れのうえに、通夜、葬儀と気持ちは張りつめているものの、その疲労は激しいものがある…

不祝儀には黒以外の水引を使ってはいけない?

よくわれわれが間違いやすい水引のタブーをもう一例あげよう。不祝儀は全て黒の水引ですましている人が多いようだが、これはたいへんな間違い。 本来、黒の水引を使ってよいのは、葬儀のときだけなのだ。ところが実際には、葬儀以外の法事にまでも黒、または…

金銀の水引、金を右にしてはいけない?

祝儀、不祝儀など贈答品にかけるものが水引である。細いこよりにのりをつけて干し固め、色付けされ、数本合わせて使用される。 水引には、祝儀用の紅白と金銀に、不祝儀用の黒一色、黒白、銀一色、黄白、藤色などがあり、それぞれ用途によって、使い分けられ…

新婚両人は床の間の前に坐るものではない?

花嫁花婿の入場にはじまる結婚披露宴では、メインテーブルは主役二人の席ときまっている。ホテルなどの式場が率先してつくり上げた、このスタイルは、実はごく最近の流行にすぎない。 新郎新婦をよく見たい、祝ってあげたいという参列者の気持ちとあいまって…

線香は三本立てるのが本当?

一般に線香は一本、あるいは三本立てなければいけないとされている。 仏にお供えして、霊を弔うという焼香の本来の主旨からすれば、線香を何本たてようと関係ないのだが、日本では仏教の宗派によって、本数が決められている。 禅宗では二本でも三本でもよい…

結婚式は夕方にあげてはいけない?

結婚披露宴の会場の予約は、ふつう正午をはさんだ時間帯から詰まっていく。 まず結婚式を挙げ、その日のうちに人々を招いて食事を供するとなると、やはり都合がいいのか、ほとんどのカップルがこの時間帯を希望する。 最近では結婚産業もエスカレートし、結…

夜の結納はよくない?

今やデパートのブライダルコーナーに五品目、七品目、九品目とセット価格で売られている結納。 目録にはじまり、金包、子生婦、寿留女、松魚節などその内容は酒食のものが基本となっている。結納の本来の意味は、〝息女を育てられた御両親へのお礼〟であり、…

門松の一夜飾りはタブー?

門松を含め、正月やめでたい節句の飾りうけに、一夜飾りは似つかわしくないものとして、昔から避けられてきた。 なぜ一夜飾りはタブーなのだろうか。これは「渡り箸」などと同じく、葬式に関連したタブーなのである。 人の不幸は、前触れもなくやってくるこ…

贈り物になぜ偶数は嫌われるのだろう?

昔から数字にまつわる禁忌は多い。そのほとんどが語呂合わせで、根も葉もないタブーであるといってしまえばそれまでなのだが、科学の進んだ現代でも、いまだに忌み嫌われているものもある。よく贈り物に偶数はいけないといわれる。 たとえば、ふだんあまりつ…